会社破産とリース契約の取り扱い

文責:弁護士 上田佳孝

最終更新日:2021年05月13日

1 リース料は破産によって支払わなくてよくなる

 会社の自己破産をする場合、必ずといってよいほど必要になるのがリース契約の処理です。

 リース契約は、コピー機や電話機が最も多く、事業に不可欠な機械類も一括で買えない場合に、分割で支払って使用できる便利な仕組みです。

 リース契約は賃貸借契約との違いとして、途中でやめても残ったリース料を払わなければならないことが多いです。

 また、分割払いで購入する場合との違いとして、リース契約が終了するまで支払っても所有権を取得できず、再リースで値段は下がってもリース料を請求されることが多いです。

 会社が自己破産すれば、リース料を支払わなくてよくなります。

 代表者が連帯保証人になっているケースが多いですが、代表者も自己破産して免責

を得られれば支払わなくてよくなります。

2 リース物件は返還しなければならない

 リース契約は、終了時に物件を返還しなくてはならないと規定されています。

 自己破産すればリース契約は終了しますので、リース会社に物件を返還しなくてはなりません。

 会社が自己破産する場合、誰がどのような方法で返還するかは、大きく3つパターンがあり、メリットとデメリットがありますので、弁護士に相談して決める必要があります。

3 リース物件の返還のパターン別メリットとデメリット

⑴ 破産管財人に任せる

 破産手続が開始されると破産管財人という別の弁護士が裁判所から選ばれますので、管財人に返還を任せることも多いです。

 代表者が一番大変な廃業直後に自ら動いて返還する必要がなく、返還の段取りをお任せできるので楽です。

 ただ、裁判所に納める費用が高くなるリスクがあるのと、万が一管財人が選ばれる前に盗難にあったり壊れたりすると、代表者個人で弁償する必要が生じたり、代表者が免責されない可能性があるので注意が必要です。

 

⑵ 代表者自らがリース会社に発送するか引き取りに来てもらう

 代表者自身がリース会社と話をして、返還方法で折り合いがつけば、最も破産にかかる費用が安くつき、盗難の心配もありません。

 ただ、リース会社が引き取りに来てくれない場合、自ら配送業者を手配したり、返還するのに費用がかかることがあります。

 

⑶ 依頼する弁護士とリース会社が協議した返還方法によって返還する

 ⑴と⑵の中間に位置するもので、裁判所に納めるお金は安くなる可能性がありま

すが、少なくとも引取時の立会いや送付することは自ら行う必要があります。

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